長期優良住宅とは

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、長く安心して住むことができるように、耐震性や省エネルギー性など一定の基準を満たした住宅のことを指します。この制度は、2009年に住宅の品質向上を目的として住宅の長寿命化推進法に基づいて創設されました。長期優良住宅に認定されると、様々な税制上の優遇措置を受けることができます。近年では新築戸建住宅のおよそ4戸に1戸が長期優良住宅の認定を取得しています。

長期優良住宅の条件[8つの評価項目]

  • 劣化対策
    長期優良住宅としての劣化対策は、住宅の主要構造部が数世代にわたって使用できるように設計されていることを意味します。これには、耐久性のある材料の選定や、湿気や害虫に対する防御措置が含まれます。例えば、基礎や柱、梁などの構造躯体には、長期にわたる使用を見越して、腐食や劣化が少ない特別な加工が施された木材や、耐食性に優れた金属が使用されることが望まれます。また、外壁や屋根の材質も、色褪せや劣化が遅い材料を選ぶことで、長期間美観を保つことができるよう工夫されます。
  • 耐震性
    地震に強いFP軸組工法は、断熱性・気密性の高い硬質ウレタンと木枠パネルを一体成形した「FPウレタン断熱パネル」を建物の柱や梁に組み込む独自の工法です。一般の軸組工法の強度を表す壁倍率は2.0であるのに対し、FP軸組工法の壁倍率は3.4(最大値)。比較すると1.7倍の壁組強度を誇り、強い剛性を備えた住宅が可能となります。
    ※プランによっては一般軸組み工法を採用
  • 維持管理・更新の容易性
    長期優良住宅の維持管理・更新の容易性は、住宅の設備や配管にアクセスしやすい設計がされていることを意味します。具体的には、配管システムが点検・修理を容易にするために明示されている場所に配置され、必要な場合には迅速に交換や修理ができるようになっています。
    また、定期的なメンテナンスを行うための設計や、後からの改修や機能追加がしやすい構造を有しています。例えば、床下や壁内にメンテナンス用の通路を設けることで、配管や電線が容易に点検できるようにするなどが挙げられます。これにより、住宅の長寿命化を支える維持管理が効率的に行われます。
  • 省エネルギー性の家
    省エネルギー性
    省エネルギー性の確保は、必要な断熱性能を始めとするエネルギー効率の高い住宅設計が行われていることです。これには、高性能な断熱材の使用、窓ガラスの二重窓化や遮熱膜の使用、さらには太陽光発電や高効率の給湯器といった再生可能エネルギーの利用が含まれます。具体的には、壁や屋根、床に性能の高い断熱材を使用することで外気温の影響を受けにくくし、夏は涼しく冬は暖かい住宅環境を実現します。これにより、エアコンやヒーターなどのエネルギー消費を大幅に削減し、光熱費の節約にもつながります。
  • 居住環境・家の外観
    居住環境
    良好な居住環境の維持・向上は、住宅が建てられる地域の景観や環境に配慮した設計がなされていることを意味します。これには、自然光の取り入れ方を工夫したり、周囲の環境と調和する外観デザインの採用、適切な植栽計画による緑化などが含まれます。
    また、騒音や振動の少ない静かな居住空間の提供も重要です。例えば、窓の位置や大きさを調整することで、適切な採光と通風を確保し、居住者の健康と快適性を高めることができます。さらに、地域の特性を活かした設計を行うことで、地域全体の景観向上にも寄与します。
  •  住戸面積がある家
    住戸面積
    住戸面積の要件は、良好な居住水準を確保するために必要な広さを持つ住宅を設計することです。これは、家族構成やライフスタイルに応じた十分な空間を提供することにより、快適で健康的な住生活を支えることを目的としています。具体的には、居室やキッチン、浴室などの主要な生活空間が適切な広さを持ち、ストレスの少ない生活ができるように配慮されます。また、将来の家族構成の変化にも柔軟に対応できるよう、間取りの変更が容易な設計が求められます。このようにして、長期にわたって質の高い居住生活が維持されます。
  • 維持保全計画
    維持保全計画
    維持保全計画の策定は、建築時から将来を見据えた住宅の維持管理を計画することを意味します。これには、定期的な点検や必要に応じた補修を行うための具体的な計画が含まれます。例えば、屋根や外壁の塗り替え、防水性の確認、設備機器の更新時期と方法など、長期にわたる住宅の健全性を保つための手順が明確に記されます。これにより、住宅の劣化を未然に防ぎ、常に最良の状態で住宅を使用することが可能となります。また、予期せぬ修繕費用の発生を抑え、経済的な負担も軽減します。
  •  災害配慮
    災害配慮
    災害配慮は、自然災害による被害の防止または軽減を目指す設計がなされていることを指します。これには、洪水や土砂災害、台風や大雨など、地域特有のリスクに対する防災措置が含まれます。具体的には、建物の耐水性能の強化、土砂崩れから建物を守るための構造的工夫、避難経路の確保などが求められます。また、非常時におけるエネルギー供給の確保を目的とした、太陽光発電などの自立型エネルギーシステムの導入も有効です。これらの措置により、災害時でも住民の安全を守り、被害を最小限に抑えることができます。

長期優良住宅のメリット

1. 住宅ローン控除の拡充
長期優良住宅の認定を受けると、一般住宅に比べて税の特例措置が拡充されます。長期優良住宅を購入または建築した場合、所得税からの住宅ローン控除が拡充されます。通常の住宅ローン控除よりも控除期間が長かったり、控除額が多かったりするため、長期にわたって経済的なメリットが享受できます。

2. 固定資産税の軽減
長期優良住宅には、固定資産税が軽減される特典があります。認定を受けた住宅は、一定期間、固定資産税が減額されるため、年間の税負担が大きく軽減されることが期待できます。

3. 資産価値の維持・向上
長期優良住宅は、耐久性や耐震性が高い基準で建築されるため、長期間にわたって資産価値を維持しやすいです。また、高い建築基準により将来的にも市場での評価が高く、売却や賃貸時に有利になることが多いです。

4. 快適な住環境
高い断熱性や省エネルギー性を有する長期優良住宅は、一年を通して室内環境が快適です。夏は涼しく、冬は暖かい居住空間を提供し、光熱費の節約にもつながります。

長期優良住宅のデメリットは?

1. 申請に費用がかかる
一般住宅よりも着工までに時間がかかります。長期優良住宅に認定されるためには、所管行政庁の審査を経て認定を得る必要があるからです。さらに所管行政庁が適合証の提出を求める場合は、住宅性能評価機関による技術審査も必要になります。長期優良住宅制度の申請には、設計図書類の作成で約20万円、技術審査や認定の手数料で5万~6万円程度が必要です。また、代行申請料も加わる場合があります。これらのコストは初期投資として考えられますが、「安心感」を得るための費用と捉えることもできます。

2. 建築コストが割高に
高い住宅性能を確保するため、耐震性や省エネ性などのグレードが高い構造部材や住宅設備を選ぶ必要があり、その結果、建築コストは一般的な住宅よりも高くなります。しかし、このコストは長期的に見れば、自然災害後も住み続けられる安心感や維持費の節約につながるため、多くの場合、高性能を選択するメリットの方が大きいです。

3. メンテナンス履歴の作成・保存が必要
これには床下や屋根での点検・補修が含まれ、手間とコストがかかります。ただし、これらの記録を保持することで、将来の建築会社への引き継ぎがスムーズになり、売却時には高価格での取引が可能になるため、長期的に見ればメンテナンスも資産価値を支える重要な投資です。