グラスウールとロックウールの違いを比較|断熱材選びの判断軸を解説

グラスウールとロックウールの違いを比較|断熱材選びの判断軸を解説

断熱材について調べていると、必ずと言ってよいほど登場するグラスウールとロックウール。見た目がよく似ているため、「何が違うの?」と感じる方が少なくありません。

しかし、グラスウールとロックウールは原料が異なり、性能や得意分野にも差があります。そのため、断熱材として使う場合は、その違いを把握してから自宅に合ったものを選ぶ必要があります。

本稿では、両者の基本的な違いを7つの比較軸で整理しました。住宅の条件に合った断熱材の選び方も解説しますので、家づくりにご活用ください。

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グラスウールとは?ロックウールとは?

グラスウールとは?ロックウールとは?

グラスウールとロックウールは、どちらも「繊維系断熱材」に分類される素材です。

断熱材には大きく分けて「繊維系」と「発泡樹脂系(ウレタンフォームやフェノールフォームなど)」の2タイプがあります。

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繊維系断熱材は、発泡樹脂系断熱材に比べて吸音性が高く、安価で導入しやすいという特徴があります。

グラスウールとロックウールは、「繊維系断熱材」の中でも「無機質系」に分類され、似た特徴を持っています。一方、注目すべき違いもありますので、ご紹介していきましょう。

グラスウールとは?ガラスからつくる繊維系断熱材

グラスウールとは?ガラスからつくる繊維系断熱材

グラスウールは、リサイクルガラスなどのガラス原料を高温で溶かし、細い繊維状に加工した断熱材です。コスパの高さが特徴で、住宅用断熱材として日本でもっとも広く使われています。

密度によって断熱性能が変わり、「16K」「24K」「32K」などの規格で分類されています(数字が大きいほど繊維の密度が高く、断熱性能も高い)。

軽量で加工しやすく、壁・天井・床と幅広い部位に使えるため、多くの建築会社で標準仕様として採用されている断熱材です。

参考:硝子繊維協会「グラスウール(短繊維)の特長/断熱性」

ロックウールとは?岩石・鉱物からつくる繊維系断熱材

ロックウールとは?岩石・鉱物からつくる繊維系断熱材

ロックウールは、天然岩石(玄武岩など)や高炉スラグ(鉄をつくる際の副産物)を高温で溶かし、繊維状に加工した断熱材です。

グラスウールよりも耐熱温度が高く、600℃以上の高温にも耐えられるため、耐火性能に優れています。また、繊維がやや太めで密度が高い分、低い音域の吸音にも強みを持っています。

もともとは、プラント配管の保温材として産業用途で多く使われてきた素材です。近年は住宅向け製品も充実し、耐火性や防音性を重視する住宅での採用が増えています。

参考:ロックウール工業会「耐熱性がすごい」

グラスウールとロックウールの見分け方

グラスウールとロックウールは見た目がよく似ているため、見分けるのは簡単ではありません。ただし、よく観察すると違いがわかります。

グラスウール 黄色がかった色合いで、繊維が細く柔らかい手触り。
ロックウール 灰色~茶色がかった色合いで、繊維がやや太く、ザラっとした質感。

なお、どちらの素材も施工時は手袋やマスクの着用が推奨されます。繊維が肌に触れるとチクチク感じることがあります。

健康上のリスクについては、このあとの「安全性」の項目で詳しくご説明します。

グラスウールとロックウールの違いを7ポイントで比較

グラスウールとロックウールの違いを7ポイントで比較

ここからは、グラスウールとロックウールの違いを7つの比較軸で見ていきましょう。まずは全体像を表で確認してみてください。

なお、グラスウールのことを一部「GW」と表記しています。

比較項目 グラスウール ロックウール
断熱性(熱伝導率) ○(密度を上げれば高性能) ○(高密度GWと同水準)
耐火性・耐熱性 ○(約300℃で収縮) ◎(600℃以上に耐える)
吸水性・吸湿性 △(水に弱い) ○(撥水性あり)
防音性(吸音性能) ○(高音域に強い) ◎(低音域に強い)
安全性 ○(アスベストとは別物) ○(アスベストとは別物)
シロアリ耐性 ○(無機素材で食害なし) ○(無機素材で食害なし)
価格 ◎(安価) △(やや高い)

それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

断熱性(熱伝導率)の違い

断熱材の性能は「熱伝導率」で比較され、数値が小さいほど熱を通しにくいことを意味します。

熱伝導率だけを見れば、グラスウールとロックウールに大きな差はありません。どちらも「0.03~0.05W/(m・K)」程度です。

この熱伝導率は、発泡樹脂系と比べると高めの数値です。たとえば、フェノールフォームは「0.02W/(m・K)」程度のものもあります。

参考:国土交通省「断熱材の種類の例」

ただし、断熱材の性能には、熱伝導率だけでなく密度や厚みも影響します。

グラスウールやロックウールは、密度が高く厚みのあるものを選ぶことで断熱性能を高められます。

耐火性・耐熱性の違い

耐火性・耐熱性については、ロックウールが明確に優れています。火に対する安心感を重視するなら、ロックウールに軍配が上がるでしょう。

グラスウールの耐熱温度は約300℃で、これを超えると繊維が収縮しはじめます。一方、ロックウールは600~700℃でも形状を維持でき、溶融点は1,000℃以上です。

一般的な住宅用のグラスウール・ロックウールは、いずれも「不燃材料」に認定された製品が主流です。しかし、火災時に「火を遮って家族の避難時間を稼ぐ力」には大きな差があります。

吸水性・吸湿性の違い

水や湿気への強さでは、ロックウールに分があります。

グラスウールは吸水しやすい性質があり、水を含むと繊維の間の空気層がつぶれて断熱性能が低下します。施工時には防湿シートとの併用が欠かせません

一方、ロックウールは繊維自体が水を弾く撥水性を持っており、湿気による性能低下が起きにくいとされています。

ただし、ロックウールでも防湿施工が不要になるわけではありません。結露対策としての防湿層は、どちらの断熱材でも必要です。

防音性(吸音性能)の違い

繊維系断熱材は、「繊維の間で音のエネルギーを熱に変える仕組み」で吸音効果を発揮します。防音性はどちらも優秀ですが、得意な音域が異なります。

ロックウールは繊維が太めで密度が高いため、低音域の吸音に強みがあります。一方、グラスウールは繊維が細く、密度もロックウールより低い傾向があるため、高音域の吸音に優れています。

住宅で気になりやすい足音や話し声は中~低音域にあたるため、防音性を重視するならロックウールのほうが効果を感じやすいでしょう。

ただし、密度や厚みでも吸音特性は変わるため、素材だけで決めきれない面もあります。

安全性(健康被害リスク)の違い

「繊維系断熱材」と聞くと、アスベスト(石綿)を連想する方がいるかもしれません。しかし、グラスウールもロックウールも、アスベストとはまったく別の素材です。

アスベストの繊維は非常に細く、「0.02~0.35μm」程度です。吸い込むと、肺の奥まで到達して健康被害を引き起こします。

参考:独立行政法人 環境再生保全機構「アスベスト(石綿)による健康障害のメカニズム」

対してグラスウールやロックウールの繊維ははるかに太く、3~10μm程度です。仮に吸い込んでも体液で溶けやすく、体外に排出されるとされています。

国際がん研究機関(IARC)の評価でも、どちらも「ヒトに対する発がん性について分類できない(グループ3)」とされており、安全性に差はありません。

参考:厚生労働省「世界保健機構の国際がん研究機関におけるヒト発がん性分類」

シロアリに対する強さの違い

シロアリへの耐性は、どちらも高いと言えます。

グラスウールはガラス、ロックウールは岩石や鉱物が原料です。いずれも無機素材であり、シロアリの餌になる有機物を含まないため、食害を受けるリスクはほとんどありません。

ただし、断熱材そのものが食べられなくても、断熱材と木材の隙間がシロアリの侵入経路になる可能性はあります。

シロアリ対策は、断熱材の種類だけでなく、基礎まわりの防蟻処理や施工の丁寧さも重要です。

価格・コストパフォーマンスの違い

コスト面では、グラスウールが有利です。

グラスウール 日本でもっとも流通量が多い断熱材であり、材料費・施工費ともに抑えやすい傾向にある。
ロックウール グラスウールと比べて材料費が高く、製品によっては1.5~2倍程度の価格差が生じることもある。

ただし、ロックウールは耐火性・防音性・耐湿性で優れています。

長期的な住み心地や安全性を含めたトータルコストで見ると、一概に「安いほうがよい」とは言い切れません。

グラスウールとロックウール、結局どっちを選ぶ?

グラスウールとロックウール、結局どっちを選ぶ?

7つの比較軸を見てきましたが、「結局、自分の家にはどちらが合うの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

ここでは、条件別の選び方をシンプルに整理します。

コストを抑えたい場合はグラスウール

予算に限りがある場合や、コストを抑えながら断熱性能を確保したい場合は、グラスウールが有力な選択肢です。

グラスウールは材料費が安く、高性能品(24K・32K)を選べばロックウールと同等の断熱性能を確保できます。

日本の住宅でもっとも多く使われてきた実績があり、施工に慣れた職人さんも多いでしょう。そのため、安定した品質が期待しやすい点もメリットと言えます。

「コストを抑えつつ、断熱性能はしっかり確保したい」という場合には、高性能グラスウールを選び、防湿施工を丁寧におこなうのが合理的な判断です。

耐火性や防音性を重視するならロックウール

耐火性能を重視する場合や、防音性にこだわりたい場合は、ロックウールが適しています。高温でも形状を維持し、低音域の吸音にも優れるため、安全性と静音性を両立させたい住宅に向いています。

たとえば住宅密集地や、楽器を演奏する部屋を設けたい場合は、ロックウールの強みを生かしやすいでしょう。

一方で「コストも抑えたいし、耐火性も防音性もほしい」と感じる方もいるかもしれません。そのようなときは、部位ごとに断熱材を使い分ける方法もあります。

どの部位にどの断熱材が適しているかは、建物の構造や施工方法と密接に関わるため、迷ったときは建築会社に相談するのが確実です。

断熱材は「素材」だけでは決まらない?施工精度が性能を左右する

断熱材は「素材」だけでは決まらない?施工精度が性能を左右する

ここまでグラスウールとロックウールの性能差を比較してきましたが、もうひとつ大切なポイントがあります。

それは、断熱材の実力はカタログの数値だけでは決まらないということです。

建築会社選びが断熱材の性能を左右する

たとえば、グラスウールは柔らかく加工しやすい反面、隙間なく充填するには施工技術が求められます

壁の中に隙間ができてしまうと、そこが熱の逃げ道になり、いくら高性能な断熱材を選んでもカタログどおりの効果が得られなくなります。

ロックウールも同様で、素材自体の耐火性や防音性が優れていても、施工精度が甘ければ期待した性能は発揮されないでしょう。

建築会社の施工精度を確認しよう

つまり、断熱材選びでは「どの素材を選ぶか」と同じくらい「誰がどう施工するか」が重要になります。

建築会社を選ぶ際には、使用する断熱材の種類だけでなく、「施工品質のチェック体制はどうなっているか」を確認してみてください。

それだけでも、断熱材の性能を住まいの快適さに生かしやすくなります。

まとめ:グラスウールとロックウールは、似て非なる断熱材

グラスウールとロックウールは、どちらも繊維系断熱材でありながら、原料の違いから得意分野が異なる「似て非なる素材」です。

コスパを重視するならグラスウール、耐火性や低音域の防音性を重視するならロックウールが有力な選択肢になります。

ただし、どちらを選んでも施工精度が伴わなければカタログどおりの性能は発揮されません。だからこそ、施工品質まで信頼できる建築会社を選ぶことが大切です。

グラスウールとロックウールは、似て非なる断熱材

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